NHK放送史 中学校特別シリーズ 体育教室 [NHK教育]

「NHKアーカイブス」に公開された、1980年放映の中学生向け保健体育の教育番組「中学校特別シリーズ  体育教室」のダイジェスト動画です。
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以前このブログでもご紹介しましたが、1980年にNHK教育テレビは「中学校特別シリーズ」という番組を制作しました。
これは、書道・技術・美術・保健体育・古典芸能といった、普段スポットを浴びない教科に対し、
1回20分、1シリーズ5~6回、年数回の再放送をゲリラ的に放映する、というシリーズです。
それまではフィルムが主体だった録画媒体もビデオになり、鮮明な画像の番組となりました。
その中の「体育教室」は、金曜日の午後3時から放映されました。出演するのは、筑波大学教授(当時)の中島光廣先生、モデルの演技をつとめる筑波大学学生(男女それぞれ2名)、東京都文京区立茗台中学校生徒のみなさんです。

最近、情報交換掲示板の方で昭和男さんから、「NHKアーカイブスのNHK放送史に、この番組の初回放送「マット運動」のダイジェスト動画が公開された」と教えていただきました。
早速覗いて見たところ、実に懐かしい思い出が蘇りました。

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この放送が行われた1980年4月11日は、私の大学の入学式の日で、午前中の入学式を終えて下宿に帰った新入生の私は、前日に大学生協で購入したテレビの受取りを待っていました。
設置が終わり、テレビをつけてみると、たまたまこの番組が始まりました。

タイトルバックの画面の後に登場したのは、男子の体操選手だったので、最初は
「これは、体操選手の模範演技を画面に映し出すだけの教育番組なんだろうな」
と思いました。

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すると次の瞬間、遠景から練習する中学生たちの姿が映し出されました。
男子女子別々に2列のマットで、左側では男子生徒たちが、右側では女子生徒たちが列になって次々に回転しています。
ちょっと興奮の胸が高まった瞬間でした。

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そんな生徒達の練習風景をバックに、指導の中島光広先生の番組説明が始まりました。
「体育教室では、器械運動を取り上げることになりました。器械運動は、・・・」
視聴者の私は、先生の説明よりも後方で練習している女子生徒達の方が気になって仕方がありませんでした。

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なにしろ女子の種目は側方倒立回転、次々に開脚した足が画面に現れるので、普通の十代後半の男性ならそちらに視線が向くのは自然なことでしょう。

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昭和男さんの指摘によれば、この番組で模範生的な役割をこなす広江さんの姿も確認できるそうです。この画像で先生の左後方に映っている生徒さんのフォーム、確かに広江さんですね。

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マットの横に男女の生徒さんが並んで座り、その目の前で男女の筑波大学の学生の模範演技が披露されます。赤いレオタードに身を包んだ福田さんと金山さんが側方倒立回転の演技を行います。

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ここで改めて、テレビの中で練習する生徒さんたちが、東京都文京区立茗台中学校のみなさんだと中島先生から紹介されます。

この後、まず前半は男子の跳び込み前転から本編の練習に入っていきます。
この動画はあくまでもダイジェスト映像ですので4分で終了し、女子の登場場面は収録されていません。

私はこの冒頭の部分は手元になかったので、ほぼ42年ぶりに再会した懐かしい映像となりました。当時の記憶も案外実際の映像と異なっていなかったのですが、今改めて観ると新鮮な発見もあり、当時の感動が蘇ってきました。
コメント(6) 

コメント 6

匿名

大変貴重な映像をありがとうございました。映像の生徒さんはおそらく私の学年と思います。撮影は昭和54年の冬か年明けぐらいでしないでしょうか。当時中二なら同級生になります。
管理人様にとっても想い出の番組なのですね。この映像は感動モノと思います。私は本放送は見ておらず、こちらの掲示板で初めて知りまして映像を拝見しました。中学時代の同級生女子たちの顔が浮かんできて懐かしかったです。
広江さんの運動神経に目を見張りますね。躍動感があります。きっと運動部にいる生徒さんでしょう。

by 匿名 (2022-05-28 13:34) 

Sei

匿名様

コメントを頂きましてありがとうございます。
匿名様は、この番組に出演されていた生徒のみなさんと同学年だったわけですね。当時のご自身の姿と、この番組の中学生たちとが重なるかもしれません。そういう意味では、匿名様にとっても特別な番組とも言えそうですね。

NHKの公式のホームページで、この番組をはじめマイナーな番組のダイジェスト動画を紹介したことは、NHKの事業主体が徐々にデータコンテンツ事業にシフトしていることを象徴しているかもしれません。
将来、ダイジェストではなく全デジタル化番組がインターネットで自由に見られる時代が来るといいですね。
by Sei (2022-05-28 16:15) 

田舎帝王

うちの中学校がそうでしたが、普通、男子の短パンが紺色で女子のブルマーがエンジ色という学校が多いと思いますが、ここは逆で男子がエンジ色の短パンで女子が紺色のブルマーですね

ちょっと珍しいなと思いました
by 田舎帝王 (2022-06-23 04:02) 

Sei

田舎帝王様

コメントを頂き、ありがとうございます。
確かにご指摘の通り、昭和時代は白・青は男子、赤・エンジは女子というような「色による性の固定イメージ」がありましたね。
私自身はそれでも全然構わないのですが、昨今ではそのような性の色による固定化は、ジェンダーフリーの理念にそぐわないそうです。

そういう意味では、この中学校のカラーの選択は「先進的」だったのかもしれません。
by Sei (2022-06-25 11:53) 

アリアス

こんにちわ。いつも拝見させていただいております。
NHKのホームページ、男子のシーンがメインなのはブルマー姿が性的対象の批判を受けないための処置なのではと推測します。
私のこの動画の男子と同じ短い短パン姿で体育授業を受けた世代です。体育座りをさせられた時に太ももの隙間から下着が見えるのを女子に見られないか気にしたものでした。セクハラなどという言葉がなかった時代ですが男子に対しては短パン一枚のみ上半身裸での組体操など裸にさせられることが多かった時代でそれが当たり前、今のような女子のスラックス制服やジェンダーレス水着など全く想像つきませんでした。

by アリアス (2022-07-02 13:42) 

Sei

アリアス様
コメントを頂き、ありがとうございます。いつも拙ブログをご覧になって下さって感謝しております。

NHKのページは、たまたま第一回のマット運動の回が前半男子→後半女子の構成で、かつ4分の短いクリップなので男子のシーンがメインになったのでしょう。これが次回の「跳び箱運動」だったら、前半女子→後半男子の構成でしたので女子メインの映像になったのではないかと推察します。

短パンで体育座りでブリーフが見える、という経験は、私も含めてあの世代の男子はみんな経験した共通事項ですよね。体育祭での棒倒しとか、男子は上半身裸になる場面は多かったと思います。

制服のジェンダーレス化が進み、男子もスカート型制服を選択できるとか、水の抵抗が大きい(=溺れる危険の高い)ジェンダーレス水着とか、ちょっと行き過ぎのように思えます。
あと20年も経てば、「ジェンダーレスに走り過ぎた時代」の象徴として、笑いの対象になるような気がします。
by Sei (2022-07-04 06:37) 

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